3月17日(水)に事務所内で施行済み及び2020年4月より施行された改正民法の家族法分野についての研修を行いました。
その一部をご紹介いたします。
今回の改正で注目すべき点として、まず配偶者居住権があります。
この権利が認められる場合の要件(条件)は以下の通りです。
(文字が小さくて見えづらい場合には、文末の「研修資料」PDFファイルで後ほどご確認ください)
つまりは、(1)配偶者から配偶者居住権の遺贈を受けるか、(2)相続人間で配偶者居住権の設定を認めた場合に配偶者は配偶者居住権を得ることになります。
配偶者居住権を取得することで、配偶者は、今まで住んでいた家にそのまま住んだり、(所有者の承諾を得て)第三者に貸し出すことができるようになります。
でも配偶者からすれば以下のような疑問が湧いてきます・・・
確かに今まで住んでいた家にそのまま住むのは当然のような気がしますね。
実際、改正前には、配偶者が今まで住んでいた家にそのまま住む方法として以下の方法がとられていました。
しかし、上記方法では、以下のように配偶者に金銭負担が生じる恐れがありました・・・
以上のように改正前の遺産分割では、配偶者が、住み慣れた家に住み続けるためにお金を負担する必要が出てきてしまい、老後の資金が枯渇する恐れがありました。
そこで、法改正によって配偶者居住権という制度が誕生しました。
これにより配偶者は、従来であれば負担する金銭を負担することなく、住み慣れた家に住み続けることができるようになります。
(これは「配偶者居住権」が認められた場合です。改正後においても、改正前と同様の遺産分割方法を選択することができます。)
配偶者は、配偶者居住権を得ることができ、もう一方の相続人である息子は家の所有権を取得することができます。
もっとも、この所有権は、制限付きの所有権です。制限付き所有権の説明は以下の通りです。
所有権者は、配偶者に建物の使用収益を認める一方で、建物の売却・抵当権設定をすることはできます。
さらに、長年連れ添ったご夫婦においては、配偶者居住権を遺贈すると配偶者はより有利に相続財産を得ることができます。
配偶者居住権についてのポイントは以下の通りです。
(文字が小さくて読めない場合には、文末のPDFファイルを後ほどご確認ください)
いかがだったでしょうか。
今回の改正では、配偶者居住権の他にも、配偶者短期居住権や、相続人でない人であっても財産をもらえる可能性のある「特別の寄与」制度が導入されました。
これらの制度についても研修資料に含まれておりますので、興味のある方は文末のPDFファイルをご確認ください。
今回の改正は、皆さまの生活に少なからず影響のあるものであると考えられます。
ご自分や家族への影響や、どういう遺贈をすればよいか等聞いてみたいという方は、お気軽に弊所にご連絡ください。
研修資料