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新63期修習生と法曹養成

2009-12-02 (Wed) 00:52
今年の新63期修習生が、熊本に配属された。28名である。
皆、実務に直に触れる機会を得て、これからの未来に対し、
わくわくと期待をしている様子が見える。

1年後には、実務法曹としてのスタートラインに付く彼らを見ていると
自分自身、法曹としての初心を思い起こさなければならないと思う。

一方、次の64期からは、司法修習生の給与が、貸与制に変わるとのこと。
これまでの給付制からの大転換である。
司法改革により、法曹養成制度として、法科大学院が設けられ、
また、司法試験の合格者も増え、法曹、特に、弁護士が、大量増員され、
ある意味、市民と司法が近くなっているということができるかもしれない。
しかし、サブプライムローン破綻以降の世界的経済不況、
日本国内においては、少子高齢社会と人口減少、
日本の特色である、隣接業種の存在などなど、
新しい法曹を迎える経済的局面は、決して優しいものではない。

法科大学院で奨学金をもらい、さらには、修習生の間、”生活費”を貸与され、
法曹に付くときには、1000~1500万円の借金を負っているという者も
出現すると思われる。

果たして、それらの者が、自らの借金は、横に置いて、
弁護士の使命とされる、人権や社会正義の実現のための活動に従事する
心理的経済的余裕はあるのであろうか。
また、裁判官や検察官としての職務に専念することができるのであろうか。

アメリカでは、高給を支給するローファームに就職して、借金を返済するか
そうでなければ、公的業務(裁判官や検察官、弁護士でも社会的弱者の保護等の仕事)
に従事することで奨学金の返済を免除する制度があるらしい。

日本ではどうであろうか。
前者は、ごく限られた者にしか、その機会は与えられないであろうし、
後者は、その制度が存在しないと思われる。
この負担は、新しく法曹となろうとする者が個人として負うべきものなのであろうか。
負えるものなのであろうか。

前途洋々の彼らを見つつ、制度としての法曹養成を振り返ってみたとき、
お金がある者しか法曹になれない制度になっているのではないか。
裕福でない出自の、田舎弁護士としては、不安を感じるところである。



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