2009-11-06 (Fri) 20:41
弁護士の業務も、時代の流れが反映すると前回記載したが、
今、それを感じる案件として、
通貨スワップ取引に関するものがある。
いろいろな種類があるが、
通貨スワップとは、外国為替で、一定期間、一定回数、
決まった交換レートで、外貨を買う権利を設定する取引
と捉えていただくと分かり易いであろう。
専らメガバンクや証券会社が、会社や大手学校法人、年金基金などに売って
問題となっているようである。
為替という、経済状況に応じて変動するものを、
一定期間(4~5年と長期間に及びものもある)、
定まったレートで購入するのであり、賭け事に近く、
円安、円高にふれれば、思わぬ損害を被ることとなり、
現に、損害を被っている法人も多数いるようである。
海外と直接取引する大企業であれば、かかる取引で、
為替の変動に備えるという必要性もあるかもしれない。
しかし、問題なのは、その必要性がない会社にも、
かかる取引を勧めている場合があることである。
しかも、それが、メガバンクであったりする。
銀行法(目的)第1条1項は、
「この法律は、銀行の業務の公共性にかんがみ、信用を維持し、
預金者等の保護を確保するとともに金融の円滑を図るため、
銀行の業務の健全かつ適切な運営を期し、
もって、国民経済の健全な発展に資することを目的とする。」
と規定する。
すなわち、
銀行は、その業務に公共性があること
その公共性は、信用を維持し、預金者の保護を確保し、金融の円滑を図ることにあること
そのために、銀行は運営面において、業務が健全かつ適正でなければならず、
これらは、最終的に、銀行の存在、運営が、国民経済の健全な発展に貢献することを目的としていることを述べているのである。
銀行は、かかる公共性、顧客の保護、国民経済の健全な発展(健全な企業を応援することであって、逆にその生殺を決める可能性のある取引をしないことは当然である)
の責務を負っているのである。
リーマンショック後、利益追求を第一とする野放図な金融のあり方に
疑問、批判が噴出しているが、
少なくとも、日本の銀行は、銀行法の定める目的に適った行為を
過去してきたのかを反省し、また、将来的に実行せねばならない。
そして、過去に問題があれば、自律的に是正を図らねばならない。